用意しておきたい【防災グッズ】

防災グッズ

防災グッズを集めるとき、その量や置き場、値段などに困惑すると思います。しかし災害が起きてライフラインが途絶したとき、家の中に物資があると安心だというのは事実。では実際に何日分用意したほうがよいのでしょうか。また、具体的に何を準備すればいいのかをデータとともにお示しします。

ライフラインの途絶はどのくらいの期間?

※内閣府防災情報のページおよび
総務省 電気通信事業者の平成28年熊本地震への対応状況

熊本地震は約4万棟の家屋が全半壊し、避難者はピーク時には18万人でした。

熊本地震は比較的人口が密集した地域で起きた大規模災害で、活断層の位置から考えると日本全国どこで起きてもおかしくないレベルの災害です。この時は復旧が困難な場所では、水が最大3か月、電気最大1週間、ガス最大2週間、通信最大11日もの間途絶していました。

※内閣府防災情報のページおよび
能島暢呂:東日本大震災におけるライフライン復旧概況(時系列編)

対して東日本大震災は、約40万棟の家屋が全半壊し、避難者はピーク時には47万人でした。このような大きな災害の場合、特に津波や火災などで基地局や公共的なインフラが流失してしまうと復旧はなかなか進みません。この時は、大体ではありますが水が2週間弱、電気1週間、ガス3週間、通信1日もの間途絶していました。

基本的に、通信(携帯など)に関しては、地震後約1日は基地局の電力によって賄われるため、メールなどが遅れて届きます。その後2-3日目は基地局内の電気がなくなり途絶、4日目頃に復旧という経過をたどることが多いですが、年々災害に対する対応が向上しており、電気・通信に関しては復旧が早くなっています。

食料などはいつ届く?

多くの自治体である程度の備蓄は存在します。さらに東日本大震災を契機に災害時には、災害対策基本法改正で導入されたプッシュ型支援による支援物資供給を実施することになりました。

  • プッシュ型支援:被災直後に被災自治体からの要請を待たずに必要不可欠な支援物資を調達して輸送する
  • プル型支援:被災自治体が支援物資のニーズを調査して物資の支援を要請する

熊本地震では発災から3日目までは備蓄4日目~約1週間までプッシュ型支援が行われたことで、生きるために必要な最低限の支援物資レベルにはすぐに到達したようです。ですが自治体などに備えられている備蓄は実際には足りておらず、一定期間支援物資が不足します。その期間は、外部からの支援物資が届くまでの最低3日間となっています。

また、東京都では首都直下型地震での帰宅困難者対策として従業員の3日分の飲料水や食料などを備蓄するように努める条例があります。大阪府でも同様に3日分の備蓄をするようにガイドラインが定められています。

以上の点より、最低限3日分の食料や飲料水を備蓄しておくことは、生きるために必要と考えられます。

 ポイント 

最初の目安は3日分

安心できる備蓄日数

先ほどの3日分は、「国の機能が正常に動いておりプッシュ型支援ができる前提」の日数です。

では首都直下型地震の際、国の機能が正常に動くでしょうか。おそらくはある程度の期間機能不全に陥らざるを得ないと考えられます。

そういった大規模災害時の場合に必要となる物資の目安は約1週間

また災害の種類によってはライフラインが不安定な状況が1週間程度は続く場合があります。東日本大震災の際は発災後1週間前後で電気は復旧したものの、復旧後約1か月後に停電が発生しています。マンションやアパートなどで置く場所がない場合は3日分、在宅避難を想定できて置く場所もある程度検討しやすい一戸建ては1週間分を目安に備蓄するほうが安心といえるでしょう。また、マンションであっても高層マンションなど階下に降りることが困難な場合はなるべく1週間の備蓄を用意する必要があると考えられます。エレベーターの復旧は電気の復旧よりも遅い傾向があるためです。

参考:首相官邸災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~

平成24年の南海トラフ巨大地震最終報告書

農林水産省:家庭用食料品備蓄ガイド

みんなの備蓄の実態

実際どのくらい備蓄しているのでしょうか。

少し前の研究ではありますが、一般家庭の食料準備状況を調査した研究があります。その中では、3日分以上の非常用食料を準備していた家庭は約46.3%でした。電気・ガス・水道はあるけれど外には出られない状況で食事をとれる日数が3日分以上ある家庭は70.0%、ライフラインも途絶している状況では、夏場は42.9%、57.5%となっています。これは、冷蔵庫の中身が腐ってしまう夏は3日分以上は難しいということです。

※川島滋和, 他:都市型地震に対する一般家庭の食料の準備行動-仙台市アンケート調査の分析-, フードシステム研究(2009), 16(1), 1_14-1_24.

3日分以上備蓄している家庭も一定数あるものの、やはり不足気味と考えられます。実際に備蓄が必要な日数は災害にもよりますし、住宅状況にもよります。会社勤めの方は会社から支給される場合も少なからず存在します。状況に合わせてなるべく長期間在宅避難ができる環境を整えることが重要と考えられます。

家族別、必要な物資量(3日分, 7日分)

必要な防災備蓄の量は家族の年齢や人数によって異なります。1世帯ごとに必要なものと家族の年齢別それぞれ必要なものを一覧にしました。本記載は、在宅避難の場合を想定していますので、プライバシー保護の道具や、移動用のもの、避難所生活で必要になるもの(食器、毛布など)は除外しています。

各家庭に必要なもの

携帯用充電器     1個

除菌用アルコール   1本

ポリ袋        1パック

アルミホイル     1本

カセットボンベ    3本

ビニール手袋     1箱

カセットコンロ    1個

救急セット      1セット

ラップ        1本

ジップロック     1箱

手回し式充電器    1個

クーラーボックス 1個

懐中電灯       1本

軍手         1組

養生テープ      1個

乾電池(単1~単4)   3本ずつ

これがあれば1週間の在宅で避難することに不安は少ないでしょう。基本的に毎日使うものばかりですので、買い物に行く際に1つずつ予備を買っておくという形で対応できると思います。

大人一人につき必要な量はこんな感じです。

これに加えて、必要に応じて用意するものとして以下のものがあげられます。

・使い捨てコンタクトレンズ

・普段の薬

生理用品

次に乳児一人、幼児一人につき必要な量はこんな感じです。離乳食や母乳・ミルク、幼児食やフォローアップミルクの加減はそれぞれ違うので大体ですが、飲まない・食べない時のことも考えると多めに用意するに越したことはないかなと思います。

これに加えて、必要に応じて用意するものとして以下のものがあげられます。

・アレルギー対応食

・普段の薬

・おむつ

・フォローアップミルク

6-12歳の子ども一人につき必要な量はだいたい大人と同じです。特に普通の食事に関しては固さや量も大人とそこまで変わりません。おやつやジュースなどは適宜用意しておいたほうがいいと思います。

これに加えて、必要に応じて用意するものとして以下のものがあげられます。

・おやつ

・アレルギー対応食

・普段の薬

高齢者一人につき必要な量はこんな感じです。個人差があり、何の問題もなく固いものも消化に悪いものも食べられるかたもいれらっしゃいますので、その場合は大人換算でよいと思います。

これに加えて、必要に応じて用意するものとして以下のものがあげられます。

・おむつ

・入れ歯洗浄剤

・普段の薬

・補聴器用電池等

具体例:我が家に必要なもの

我が家の家族構成は大人二人、幼児(4歳)一人、新生児一人です。

その場合必要となってくるのは以下の量です。

結構多いですよね。収納の場所をとります。引っ越す際、家を建てる際にはあらかじめ量の目安を考えておくと場所に困らずに済むと考えられます。

場所を取らない灯りとして、ソーラータイプのライトを我が家は使用しています。災害医学会で見かけて、当日完売していたので結構みんな知ってるかもしれません。うちの子も大好きで、枕元に置いておくと部屋をいつの間にか暗くして灯りを堪能しています笑

あったら嬉しいもの

必須なものばかりで構成された防災備蓄は無味乾燥で楽しくないように思います。そこであったら嬉しいものとして、余裕があれば入れておきたい物もリストアップします。

子どもだけでなく大人にもゆとりは必要です。

そのための物を防災グッズに忍ばせておくと、明るく過ごせるように思います。調べてみたら結構日持ちするお菓子ってあるんですね。


まとめ

日持ちのするちょっと高級なお菓子などがあると、防災グッズの点検すらも楽しくなります。おもちゃやカードゲームも、電気などのライフラインが使えなくても出来るものであれば暇つぶしにもなります。暗く鬱々とした気分になりがちな被災時に、少しでも楽しく過ごせるよう準備をしておくことをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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